

税額計算の全体式
基本は次の三段階です。
- 譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用
- 課税譲渡所得=譲渡所得-適用できる特別控除
- 税額=課税譲渡所得×所有期間等に応じた税率
譲渡所得があることと、最終的に税金が発生することは同じではありません。マイホームの3,000万円特別控除などで課税譲渡所得がゼロになる可能性がある一方、適用要件を満たさなければ控除できません。
ステップ1:譲渡価額を確認する
譲渡価額は売買契約上の代金だけではありません。買主から受け取る固定資産税・都市計画税の未経過分精算金も、原則として譲渡収入金額に加えます。契約書と決済精算書を保管し、共有名義なら所有持分に応じて各人の収入と費用を整理します。
ステップ2:取得費を集計する
土地の取得費は購入代金、購入手数料、一定の登記費用や造成費などが基本です。非業務用建物は「建物の取得価額×0.9×償却率×経過年数」で減価償却費相当額を求め、取得価額の95%を上限に差し引きます。経過年数は6か月以上を1年、6か月未満を切り捨てます。賃貸・事業用建物は計算方法が異なります。
土地と建物を一括購入し、契約書に内訳がないケースもあります。消費税額、固定資産税評価額、標準建築価額など、状況に応じた按分方法を検討しますが、自己判断で有利な割合に分けるのは避けてください。相続した物件では、原則として被相続人の取得費を引き継ぐため、相続時の評価額をそのまま取得費にするとは限りません。
取得費が分からない場合の5%ルール
実際の取得費が分からない場合は、譲渡価額の5%相当額を概算取得費として使えます。売却額4,000万円なら200万円です。便利な方法ですが、実際の購入価格が高かった物件では利益が大きく計算され、税負担が増える可能性があります。古い契約書、通帳、住宅ローン資料、登記資料、購入当時の不動産会社の記録などを先に探しましょう。
ステップ3:譲渡費用を確認する
譲渡費用には、売却時の仲介手数料、売るために行った測量費、売買契約書の印紙代、一定の立退料や取壊し費用などが含まれます。保有中の固定資産税、通常の修繕費、引っ越し代、住宅ローン返済額は、支払ったという理由だけで譲渡費用になるものではありません。「売るために直接必要だったか」を資料とともに確認します。
ステップ4:特別控除を判定する
マイホームの3,000万円特別控除には、親族等への売却でないこと、過去の特例利用、居住しなくなった後の期限などの要件があります。家屋を取り壊した場合は、原則として取壊しから1年以内に敷地の売買契約を結び、契約まで貸付け等に使わず、転居後3年目の年末までに譲渡する必要があります。新居の住宅ローン控除との併用制限も確認してください。
ステップ5:長期・短期の税率を選ぶ
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不動産の売却価額・取得費・譲渡費用・所有期間から、一般税率による譲渡所得税等を概算するツールです。
不動産売却の税額目安
不動産譲渡所得税を計算
売却価額・取得費・譲渡費用と取得日から、一般税率による税額の概算を確認できます。
譲渡所得税の合計目安
円
一般税率による概算です。3,000万円特別控除などの各種特例、建物の減価償却、取得日の承継、損失の通算・繰越は計算していません。確定申告前に税務署または税理士へご確認ください。
土地・建物は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期、5年以下なら短期です。長期は所得税15%・住民税5%、短期は所得税30%・住民税9%で、所得税額には復興特別所得税が加わります。一般的な概算合計は長期20.315%、短期39.63%です。
境界例:実際の保有が5年超でも短期になる場合
2021年7月1日に取得し、2026年8月1日に売却したケースを考えます。実際の経過期間は5年を超えていますが、2026年1月1日時点では5年を超えていません。そのため一般には短期譲渡所得の区分になります。翌年売却なら判定が変わる可能性がありますが、税率だけで引渡時期を決めず、契約条件や市場状況も含めて判断してください。
計算例1:長期・特別控除なし
売却代金4,500万円、減価償却後の取得費2,800万円、譲渡費用200万円、特別控除なしとします。譲渡所得は1,500万円です。長期なら、所得税225万円、復興特別所得税4万7,250円、住民税75万円で、合計概算は304万7,250円です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却代金 | 4,500万円 |
| 取得費 | 2,800万円 |
| 譲渡費用 | 200万円 |
| 課税譲渡所得 | 1,500万円 |
| 税額概算 | 304万7,250円 |
計算例2:3,000万円特別控除を適用できる場合
同じ条件で3,000万円特別控除を適用できれば、1,500万円から控除して課税譲渡所得はゼロです。ただし、これは要件を満たして申告した場合の結果です。単にマイホームというだけで計算から3,000万円を引くことはできません。
計算例3:取得費不明の影響
売却代金3,000万円、概算取得費150万円、譲渡費用100万円なら、特例前の譲渡所得は2,750万円です。減価償却後の取得費が2,000万円と資料で確認できれば、同じ譲渡費用でも譲渡所得は900万円です。購入代金2,000万円を建物の減価償却前のまま使う例ではありません。
10年超所有の軽減税率
一定のマイホームで売却年の1月1日時点の所有期間が10年を超える場合、特別控除後の課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分は所得税10%・住民税4%で、復興特別所得税込み14.21%相当です。6,000万円を超える部分は所得税15%・住民税5%で20.315%相当です。3,000万円控除と併用できる場合があります。
売却損の計算で注意すること
土地建物の譲渡損失は給与などと損益通算できないのが原則です。マイホームの買換え型と住宅ローン残高超過型には例外制度がありますが、適用期限や要件は改正されます。2026年譲渡へ利用できるかを売却年分の国税庁資料と租税特別措置法で確認できるまでは、適用可能と断定しないでください。
計算前にそろえる資料
- 購入時・売却時の売買契約書と決済精算書
- 仲介手数料、登記、測量、解体等の請求書・領収書
- 建物の取得日、構造、購入額が分かる資料
- 共有持分、相続、贈与の経緯が分かる登記・申告資料
- 居住履歴と、過去に利用した住宅関係特例の記録
計算ツールの数字をそのまま申告しない
オンライン計算ツールは概算用です。最終的な申告は、原則として譲渡年の翌年2月16日から3月15日までに、売却年分の国税庁資料に沿って行います。休日による日程変更があるため正式日程を確認してください。
共有名義の計算
共有不動産は各共有者が持分に対応する譲渡価額、取得費、譲渡費用を計算して申告します。3,000万円控除も、要件を満たす共有者1人につき最高3,000万円となり得ますが、家屋を所有せず敷地だけを共有する人は原則対象外です。
概算は幅を持たせます
売却前に取得費や解体費が確定していないなら、一つの税額に固定せず、実額取得費を確認できる場合と概算取得費を使う場合など複数のケースを作ります。最も負担が大きいケースの納税資金を確保しておけば、決済後の資金不足を避けやすくなります。
まとめ
不動産売却の税金は、譲渡価額、取得費、譲渡費用、特別控除、所有期間の順で計算します。特に取得費と所有期間の境界は税額へ大きく影響します。資料が不足している場合や、相続・共有・買換えが関係する場合は、売却前から税務署または税理士へ相談し、前提を確定してから資金計画を立てましょう。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー。売買契約累計200件、相談500件以上の実績を持つ現役の不動産会社員です。投資用マンション買取から地域密着型の仲介まで幅広く経験。理想の会社設立に向け、スミアカスでは特定企業の利益に寄らない「剥き出しの真実」を届けることを使命としています。広告の裏側やローンの罠など、マンガを使いながら嘘のない情報を発信しています。
