

知っておきたい!不動産仲介でよくある4つのトラブル事例
不動産取引で特に起きやすいトラブルを整理しました。どのような問題があるのか、まずは全体像を見てみましょう。
事例1:知らないうちに損をする?悪質な「囲い込み」のリスク
「囲い込み」とは、売却を依頼された不動産会社が、買主様からも仲介手数料をもらう(両手取引にする)ために、他社から「買いたいお客さんがいる」と連絡があっても「すでに商談中です」などと嘘をついて紹介を断る行為です。両手取引自体は法律上まったく問題ありませんが、自社の利益のために他社からの紹介をわざとブロックするのは、売主様への誠実義務に反する行為なんですね。
これが行われると、売主様は「早く、高く売るチャンス」を逃してしまい、値下げを余儀なくされるおそれがあります。もし、専任媒介契約の物件でレインズのステータスを偽って登録するなどの悪質な客付け拒否が発覚した場合、行政から「指示処分」などの厳しいペナルティが下される明確な違反行為になります。
事例2:契約前なのに請求された?仲介手数料のキャンセル料トラブル
「物件が気に入って申し込みをしたけれど、事情があって契約前にキャンセルしたら、仲介手数料を請求された」というトラブルです。
大前提として、仲介手数料は契約が正式に成立したときに支払う「成功報酬」です。そのため、契約が成立していなければ、原則として仲介手数料を支払う必要はありません。
売買契約は口頭の合意でも成立するため、単に「契約書に署名していないから一律に未契約だ」とは言い切れない部分もありますが、単なる購入希望の申し込み段階であればキャンセルしても手数料は発生しません。
ただし、あなたが「特別に依頼した広告費」や「遠くの物件への出張調査の実費」などは、媒介契約の約束事によって成約前でも実費精算を求められることがあるため、事前の契約書の内容を確認しておくことが大切です。
事例3:見積もりを見てびっくり!別名目の「広告費」や「調査費」の請求
無事に取引が成立して仲介手数料を支払う段階になり、見積書に「広告作成代」や「物件調査費」といった追加費用が上乗せされているトラブルです。法律上、不動産会社が受け取れるのは原則として上限以内の仲介手数料だけであり、通常の広告費や物件調査費などはすべて手数料の中に含まれています。追加で請求されても支払う必要はありません。
例外として請求が認められるのは、「あなた自身が特別に依頼した広告の実費」や「遠隔地への特別な出張・調査の実費」などに限られます。これも事前に説明を受けて納得し、後々のトラブルを防ぐために書面(媒介契約書や合意書)で交わしておくのが実務上とても大切になります。
事例4:住んでから気付いた雨漏り…「契約不適合責任」ってなに?
中古住宅を買って暮らし始めた後に、雨漏りやシロアリ被害といった大きな欠陥が見つかり、「修理代は誰が払うの?」と揉めてしまうケースです。
現在の民法では、引き渡された物件が契約内容と異なる場合に、売主様が責任を負う「契約不適合責任」というルールが適用されます。以前の瑕疵担保責任のように「欠陥が隠れていたこと」は条件ではなく、単純に「契約内容と違うこと」が問題になります。
契約書で売主様が責任を負う期間(個人間売買では免責や1〜3ヶ月に設定されることが多いです)がどうなっているかが大きなポイントになりますが、期間を過ぎたからといって必ず自己負担になるとは限らず、状況次第となります。こういったリスクを減らすためにも、購入前に「インスペクション(建物状況調査)」を行うことが推奨されています(※インスペクションは不具合がないことを保証するものではない点には注意しましょう)。
トラブルを未然に防ぐための2つの防衛策
トラブルに巻き込まれないために、取引の途中でできる具体的な対策をご紹介します。
約束事はすべて書面に残し、口頭の約束は避ける
担当者の「手数料を安くします」「広告をたくさん出します」といった口頭の約束は、後から「言った・言わない」のトラブルになりがちです。媒介契約を結ぶ前に、手数料の金額や支払う時期、追加の費用の有無などを必ず「媒介契約書」や「合意書」などの書面でしっかりと残しておくことが、自分を守る最大の防衛策になります。
レインズの「登録証明書」と「ステータス」を自分で確認する
専任媒介や専属専任媒介で売却を依頼すると、不動産会社には物件情報を「レインズ」というネットワークに登録する義務が生じます。登録されると「登録証明書」が発行されますので、必ず担当者から受け取ってください。(※2025年1月からは取引状況の登録も義務づけられています)。
証明書に載っているIDやパスワードを使い、売主様専用の画面にログインすれば、自分の物件のステータス(「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」)をいつでも直接確認できます。不自然なステータス変更がないかチェックすることで、囲い込みを防ぐ助けになります(※他社からの具体的な問い合わせ件数や、断られた履歴までは画面で直接見られない点は頭に置いておきましょう)。
追加の費用を請求されたときの正しい確認手順
もし仲介手数料以外の費用を提示されたら、慌てて支払ったり、最初から「違法だ!」と怒って拒否したりせず、まずは冷静に内容を確認しましょう。
不動産会社が行う「管理業務」や「お部屋の清掃」「相続の手続きの課題整理や専門家の取次ぎ」などは、媒介(仲介)契約とは別の「独立した別契約」として事前にきちんと結ばれていれば、別途費用を支払うことは完全に適法です。(※ただし、登記の実務は司法書士、具体的な法律相談は弁護士といった専門資格者の仕事なので、不動産会社が直接行うことはできません)。
ローン代行や書類作成のチェックリスト
- 住宅ローン代行手数料:単に提携ローンを紹介して書類を郵送するだけであれば、通常の媒介業務の範囲内なので別途請求は問題です。しかし、複数の銀行の条件を細かく比較分析し、専用の資金計画を立てるような「独立したコンサルティング業務」として事前合意がある場合は、一律に違法とは言えません。
- 司法書士や測量などの実費:重要事項説明書や契約書の作成費用を不動産会社が別途請求することは認められません。ただし、登記にかかる「登録免許税や司法書士報酬」、境界を確定する「土地家屋調査士の測量費」などは、実際に依頼して実施された場合に発生する「外部の実費」ですので、混同しないように区別して確認しましょう。
困ったときの相談先は?公的な窓口のご紹介
万が一、不動産会社との話し合いで解決できない問題が起きてしまった場合の相談先を解説します。
不動産業者の免許の管轄窓口(都道府県など)
不動産会社は、都道府県知事または国土交通大臣の「免許」を受けて営業しています。
そのため、何か法令違反(不当な過大請求や、重要事項の説明不足など)の疑いがある場合は、各都道府県の宅建業主管課(大臣免許の場合は管轄の地方整備局等)が強力な相談窓口になります。
事実関係の調査が行われ、重大な違反があれば是正指導や行政処分が下されます。ただし、行政庁はあくまで「業者を指導・処分する場所」であり、民事上の返金交渉を代行してくれたり、損害賠償を決定してくれるわけではない点は理解しておきましょう。
業界団体(ハトマーク・ウサギマークの保証協会)
多くの不動産会社は、「全国宅地建物取引業保証協会(ハトマーク)」または「不動産保証協会(ウサギマーク)」のいずれかに加盟しています。これらの協会では消費者のための無料相談窓口を設けており、加盟会社とのトラブル解決に向けて中立な立場で苦情解決の手続きを行ってくれます。
また、万が一業者が倒産して手付金などが戻らない場合には、一定の条件(債権の範囲、手続き、上限額など)を満たすことで「弁済」を受けられる仕組みも用意されています。※まずは相手の業者がどの協会に加盟しているか(あるいは直接供託している非加盟業者か)を確認してみましょう。
不動産仲介トラブルに関するよくある質問(FAQ)
仲介会社のミスで損害が出た場合、損害賠償請求はできますか?
はい、請求できる可能性はあります。不動産会社が重要なことを隠して説明したり、事実に反する説明をして損害が生じた場合、契約解除や損害賠償が認められたケースはあります。
ただし、相手の義務違反や損害との因果関係を客観的に証明(立証)する必要があり、単に「説明が足りなかった」というだけで自動的に解除や賠償ができるわけではありません。だからこそ、日頃のやり取りをメールやLINEなどで残しておくことがとても重要になります。
まとめ
不動産仲介トラブルを防ぐには、媒介契約書での取り決めを徹底し、レインズのステータス確認を活用することが有効です。また、別名目の費用を請求された場合は一律に違法と拒否せず、通常の媒介に含まれない理由や契約の事実を確認しましょう。トラブルに発展した場合は、泣き寝入りせずに都道府県の担当課や所属する保証協会の窓口へ速やかに相談しましょう。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー。売買契約累計200件、相談500件以上の実績を持つ現役の不動産会社員です。投資用マンション買取から地域密着型の仲介まで幅広く経験。理想の会社設立に向け、スミアカスでは特定企業の利益に寄らない「剥き出しの真実」を届けることを使命としています。広告の裏側やローンの罠など、マンガを使いながら嘘のない情報を発信しています。